ロシア軍の弱さが報道される。
当初、ロシアは4日もあればウクライナを占領できるとさえ言われていた。実際僕もメルマガでは「必ずロシアはウクライナに侵攻する」と予想するとともに(えっへん)、侵攻は電撃戦で行われ上手くいけば空挺部隊が首都を数十時間で占領し、ウクライナの政府首脳は殺害もしくは逮捕されるだろうと予想した。もしも「電撃戦」という速攻が決まらなくてもロシア軍は18万人もの大軍を用意している。プランBとして戦車による力押しで1ヶ月立たないうちに勝利するだろうとも予想した。
果たして、予想通りロシア軍は首都を空挺部隊で急襲する速攻を仕掛けたもののウクライナ軍は空挺部隊を乗せた大型輸送機を地対空ミサイルで撃墜。ヘリコプターも大量の兵員ごと散った。西側が供与した携帯型対空ミサイルが威力を発揮したと言われる。
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アメリカ始め、多くの専門家はロシアの短期勝利を予想していた。それは「湾岸戦争」「イラク戦争」というロシアが参考にすべきお手本があったからだ。当時アメリカを中心とした多国籍軍は、あらかじめイラクの空港や地対空ミサイルの位置を把握。
ロシア製地対空ミサイルS300
これに対して海上などからトマホークミサイルを発射し撃破を図る。
戦艦ミズーリから発射されるトマホークミサイル。ミズーリは1941年着工(ほぼ同期はあの戦艦大和だ)。昭和天皇が降伏文書調印に訪れた歴史的艦船だが、トマホークを発射する艦艇として湾岸戦争にまで使われた。
さらにステルス攻撃機を含む大量の攻撃機を動員し「スマート爆弾」と言われる精密誘導弾で徹底的にイラクの飛行機に対する攻撃力を奪った。イラクも戦闘機を出して対抗したが、アメリカ軍のF15やF18、高性能空対空ミサイルといった質と量の差に圧倒され数日のうちにイラクは敵の航空機を破壊する能力を失い「制空権」を多国籍軍が奪う。
アメリカ軍F15E
こうして制空権を奪った後には専門の攻撃機を投入したり、最初は対空ミサイルだけを装備していた戦闘機にも空対地ミサイルや誘導爆弾を搭載して敵の戦車や兵員を攻撃する。
アメリカ軍A10
速度が遅く敵の戦闘機には無防備だが、大量の爆弾や対地ミサイルを搭載。機首のガトリング砲は戦車でさえ破壊できる
この時威力を発揮したのが上でも書いた「スマート爆弾」といわれる精密誘導爆弾だった。まるでテレビゲームのような画像で敵を破壊する映像を見せられた人も多いと思う
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ロシア軍には日本を大きく上回るほどの新鋭戦闘機が数多く揃っている。
ロシア軍の戦闘攻撃機Su35。日本のF15Jを大きく上回る性能を備えていると言われる
さらにはトマホークのような巡航ミサイルはないものの、「イスカンデル」と言われる500km先から相手を攻撃できる短距離弾道ミサイルが数千発あると言われていた。
当然ロシアも弾道ミサイルと精密誘導弾でウクライナの空港や地対空ミサイルシステムを破壊し、さらにウクライナのMiG29戦闘機を徹底的に破壊。制空権を握った上で徹底的に空爆を繰り返して地上軍を破壊した上でロシアの戦車部隊を進める二段構えをとると思われた。これなら、最初の電撃戦が失敗しても数週間で首都を含む都市部を複数占領できるだろうと
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ところがロシア軍は制空権の奪取にいまだ至らない。ウクライナ軍が地対空ミサイルS300を隠し、いまだに弾が尽きないのだ(これは秘密裏に西側が対空ミサイルをウクライナに運び入れてることはあるだろう。しかし発射装置を破壊すればいいだけの話なのだ)
これは「ロシアが精密誘導弾をろくに揃えてなかったし、それを有効に扱えるパイロットも不足しているから」なのだ。精密誘導爆弾で敵のミサイルを一撃必殺で攻撃できるからこそ攻撃機は敵の対空ミサイルを攻撃できる。こっちの爆弾は当たらないのに敵の対空ミサイルの上空を飛びたがるパイロットはいない。空軍の指揮者だってそんなアホな状況で貴重な戦闘攻撃機やパイロットを失いたくない。だから敵の対空ミサイルを攻撃できず「制空権を取れない」という悪循環が続く。
(もっともロシアとしてはそのうちウクライナの地対空ミサイルも在庫がつきる、その時に攻撃すればいいやと思っていた節はある。それはNATO側の防空ミサイルシステムS300用の供与で阻止された。NATOは固定翼の航空機以外の供与は無制限に行いつつある)
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要するに「見栄えがする」最新鋭戦闘機の開発に成功し、それを大量に配備することは行った。ところが肝心のパイロットを要請するお金もなければ効果的に対空ミサイルを破壊できる精密誘導爆弾もなかった。世界2位の軍事大国はハリボテだったのだ。
余談だがそれは戦艦大和を作った日本軍の姿にも似る。世界最強の戦艦を作ればアメリカにも勝てる。そんな大和だったが、時代は空母の時代に変わっていく(それを証明したのは皮肉にも真珠湾攻撃だったが)。
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あはははと笑ってすめばいいのだが、日本も全然笑い事ではない。
軽空母導入!とかF35導入!とか威勢のいい話は聞こえてくる。しかし実際には主力戦闘機のF15はおなじF15でも最初期型でかなり性能が劣る。戦車も西側諸国が90年代の旧式車については近代化を進めているのに対し、巨額のお金をかけて10式戦車を導入したが、その性能向上はわずかで、90式戦車の近代化はない。
兵員輸送車はロシアを笑えないポンコツばかり、ドイツではとっくに退役したゲパルト対空戦車とほぼ同性能の87式対空戦車が今も現役を務める。
榴弾砲はアメリカがウクライナに供与しているGPS誘導弾を装備すべきなのだがいまだほとんど導入が進まない。
一般企業ならとっくに経営陣が更迭されるレベルの話だが、どうやら「派閥争い」などで装備の効率的な更新が進まないのだ。このままでは対ロシア・中国で戦闘が行われれば、日本は惨敗を喫するだろう
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というわけで、日本もウクライナ戦争をじっくり見た上で「何がたらないのか」見極める必要がある。誘導爆弾、誘導ミサイル、誘導砲弾、無人機、などかな?GDP2%まで防衛費が拡大されればこれらを購入するはず(馬鹿でなければ。バカでないことを祈る)
これを作ってる会社を買えばいいのだ(突然株の話)
ああ、ミサイル発射装置と榴弾砲を作ってる日本製鋼所だな?とおもったんだが、データ偽装の不祥事起こしやがった(激怒
どうしてくれようか。