2018年5月30日水曜日

血が偏在する。

新種牡馬の話を書きました。

新種牡馬って今年は全部合わせても30頭。
しかしなかには数頭しか子供が居ない「うーん」な種馬もいます。
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むかしはもっと種馬多かったんです。なぜこんなに少なくなったか?

それは競馬マーケットの縮小と、たねつけ技術の向上が大きい。
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今の日本の競走馬生産数は7000頭を割り込んでいます。これ、バブル時のピーク時には13000を超えていました。ほとんど半減してしまっているんです。

一番大きいのは地方競馬の衰退でしょう。高齢化や所得の減少、レジャーの多様化に負けた「地方競馬」の競馬場は老朽化もあり次々赤字、廃止されていきました。
(1991年にもう少しで一兆円に達しそうだった地方競馬の売上は2000年には5000億円くらいまで縮小してしまいます)

こうして「安い馬」の需要が減っていきました。
ディープインパクトの種付け料は3000万円します。そんな馬、地方競馬場では絶対もとが取れません。だから他に安くても多様な種馬が必要だったんです。
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さらに種付け技術の向上があります。
馬の負担を減らしつつ、受胎率(一回の種付けで妊娠する確率)が大幅に向上したことで、丈夫な種馬なら1シーズンに200頭を超える仔馬を産ませることができるようになりました。
人気のある種馬の子供ならより高く売れるわけで、当然種付けは一部の人気種馬に寡占されていきます。子供の数が減った上に人気が集中するので余計に「同じような血統の馬が増えてしまう」結果になっていくのです。

かって笠松競馬場がかオグリキャップという馬が出ました。
オグリキャップの父馬は「ダンシングキャップ」というマイナーな種馬。
現在のように一部の種馬に人気が集中するような状態ではこういう馬が出てくるのか非常に疑問です。しかし本来、こういう多様性の中から突然変異的に強い馬が出てくるべきなのも競馬という仕組みのはずなのです。
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例えばサンデーサイレンス。この馬があれだけの成績を残しながら日本に来たのは「母系に全然活躍した馬がいないから」だったといわれています。
でもアメリカが多様性を持って生産した中から半ば突然変異のように最強のDNAが生まれたんですね。いろんな組み合わせ、一種の雑種強勢のような組み合わせから次世代の遺伝子が生まれていく。
これ、今のようにとにかくディープ、とにかくキングカメハメハ、っていう風潮からでは生まれてこない。
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もちろん、それに危機感を感じているからこそ、数は少ないながらも国外から種馬を輸入する試みが続いているのだとは思うのだけど。

90年台にかけてサンデーサイレンスを筆頭にトニービンやブライアンズタイムなどが次々に成功した時代。新しい血を導入しないことには日本の競馬はいずれ袋小路に迷い込んでしまう。
残された時間は意外に短い。

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