2017年5月23日火曜日

株には役に立たないカメラな話光学と電子

プラナーだけどプラナー(タイプ)じゃない。


なんだそれ?少し長くなります。

ソニーはドイツのカールツアイス社と共同でレンズを開発することがあります。そういう製品には「カールツアイス」とダブルネームで表示されるのです。
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カールツアイス?なにそれ?ライカなら知ってるけど???
 
カールツアイスは戦前からカメラやレンズを作ってきた会社で、現在使われているカメラの様々なレンズの多くがツアイスが発明したレンズ設計の影響をうけています。「亜流」と言ってもいい。

ぞくに昔はAからZまでたくさんのカメラメーカーがあった、といいます。もちろんZといえば「Zeiss」のことですね。。。
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さてと。
35mmフイルムの時代からカメラメーカーは昔から各社が50mmF1.4という「大口径標準レンズ」を作ってきました。

今でこそ焦点距離を変えられる「ズームレンズ」が一般的ですが、今のように光学計算が複雑に行えなかった昔は、「単焦点レンズ」といってズームが出来ないレンズが主流で、特に50mmは見た目通りに写るレンズで非常に使用率が高い、各社の主力レンズの一つでした。

 
50mmF1.4という規格のレンズは、ほぼ見た目通りの遠近感。明るい大口径のレンズ(つまり薄暗いところでも使える)で比較的には小型で軽量。高い性能のわりに値段もそれほどは高くない。多くのカメラマンに愛されてきたレンズ。これは多くがカールツアイスが戦前に生み出した「プラナー」というレンズ、そのレンズ設計に影響をうけたレンズたちです。

 

ごく簡単にいうとこんな感じに前後対称にレンズを並べた設計で、撮像に歪みがないことから平坦を意味するプレーンからプラナーという名前がレンズに付きました。
(現在はもう少し複雑にレンズを組み合わせたものが多いのですが、基本はこんな対称型の「ガウス型」レンズの組み合わせです)小型で軽量でありながら、レンズが明るい(大口径)。

 
焦点距離が50mm前後の「標準」(広角でも望遠でもないという意味の標準)レンズに最適な設計で、カールツアイスはこの手の設計のレンズには誇らしくプラナーと名前をつけてきました。その後各社がこのレンズを真似て焦点距離50mm前後のレンズを発売しました。世の中では「ああ、これはプラナータイプのレンズだね」と言ったりします。ある意味、レンズ設計の古典といえるかもしれません。

これは今はなくなってしまった京セラの一眼レフカメラ、コンタックスシリーズの標準レンズ、プラナー50mmF1.4。
オートフォーカスがついていないこともありますが、とにかく小さくて軽い。(でもって、カールツアイス銘レンズの中では安い)それでいて写真の写りは最高という素晴らしいレンズでした。

 

ところで、ソニーは昨年、Eマウント用の50mmF1.4「プラナー」を発売しました。ソニーとカールツアイスの共同開発によるレンズ。カメラマニアなら一度は欲しい(*^^*)
 
が、プラナーという名前なのに大きくて重くて高い!。明らかに今までのプラナータイプではない光学系のレンズを出してきたんです。レンズ名はプラナーなのに光学系が従来のプラナータイプじゃない。。。。

レンズフードがついていて余計に大きく見えるのは差し引いても、「小型軽量」な従来のプラナータイプのレンズではないことが見て取れます。元祖が「プラナー」を名乗るのに。。。
希望小売価格も「19万円」。カールツアイスのレンズは高価なのが有名ですが、それにしても高いw。レンズ単体の重さも778グラム。カメラと合わせると一キロを超えるわけで立派な重量級です。

ソニーが公表しているレンズの光学図によると、このレンズはこうなってるそうな。
 
 
全然前後対称じゃないじゃないかって???
 
よく見ると、レンズの前から6枚が「主要光学系」なんです。
つまりこの前から6枚までは前後対称の「プラナー」な設計になっていると。実はこの前6枚のレンズ光学系だけでもピントをあわせて像を結ぶことは出来ます、だそうな。
後ろ6枚は、レンズを使うことで起こる「収差」 を補正すること、あるいはピントをあわせることを主要目的として追加された「補正光学系」だと言うのです。

ソニーいわく、発売時点でソニーがもっている光学技術を注ぎ込んだ、という力の入れようだそうな。
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実は「プラナータイプ」は画像の歪みが少なく小型で軽量な一方、「絞り開放」では「収差」などで画面の周辺部のどうしても解像度は落ちるのです。
いままではそれでもよかった。
しかし4000万画素というとんでもない高解像度のカメラが出てくるに至っては、それでは不満が出てくるようになってしまった。
 
そこでカールツアイスはついに伝統のプラナータイプの設計を「捨てる」に至った、と言うわけです。

語弊を恐れずに書くと

前のところに撮像に使うレンズ群、そして後部に補正工学系をおいた二段構えの設計。
補正光学系を加えることで、「小型で軽量」という元祖プラナーの特徴は失われるけど、、プラナータイプの欠点である画像の周辺部の解像力低下や、収差などの問題を後部の修正レンズ群で押さえ込もうというわけです。

おそらくスーパーコンピュータなどを使った複雑な複雑な設計。
高価な特殊低分散ガラスや設計や加工が難しい非球面レンズを多用しています。

実際にメーカーの作品例を見ると、確かに絞り開放から恐ろしく解像度が高く、コントラストもスコンと抜けています。性能は素晴らしいと言って良いでしょう。

逆に言えば、カメラの電子系(C-MOSや半導体諸々)の性能は、光学(レンズ側)がここまでしないと100パーセントの性能を発揮出来ないほどに性能をあげてしまった。「20万円」という高くて重くて大きいレンズでやっとカメラの全力が活かし切れるほどに。。。。
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おそらくですがレンズのほうはもう結構限界まで来てるような気がします。
それでも収差は完全には処理仕切れない。より大きく、より重く、より高いレンズを用意すれば可能かもですが、こうなると誰がそんなレンズ(カメラ)を使うのか???

スタジオ撮影ならいざしらず、気軽に持ち歩けなくなってきますよね。





こうなるとこんどはカメラの方が光学情報を忖度して画像を作り出す方向に変わって行くんではないだろうか。

つまり、レンズの性能向上をそろそろこの辺で諦めて、レンズが集めてきた光から「こういうのが正解かな?」という映像を「創り出す」そんなふうにカメラは変わっていくと想像します

すでに今のデジカメはレンズで歪んだ映像の歪み、周辺部が暗くなる周辺光量不足をカメラの側で補正して画像をつくっています。
ギザギザの線をまっすぐに補正するようなプログラムが、レンズが捉えきれない細かい情報を補正するようなカメラが近々出てこざるを得ないんだろうな。

新天地はそうおもいます。

れた光学系は未だ必要ですが、もうけっこう限界にきてて、それを電子の力で何とかする、そういう段階まで来てるのかねえ、と。




直接株には関係ない話。しかし「カメラ産業」にとってはまた大きな転換点が来ているような気もします。

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