2016年11月21日月曜日

弾劾は成立するか?

以前,書きましたが、韓国の現職大統領は、内乱罪などのごく一部の犯罪を除いては逮捕されることはありません。政権の安定性とか「クーデターで現職大統領が逮捕される」なんていう事を防ぐための決まりごとでしょう。現職の元首は逮捕されない、という仕組みや考え方自体はわりにポピュラーな考え方です。
(日本の憲法学においても、「天皇が元首」であるかどうかはさておき、現職の天皇は逮捕されないという考え方が一般的。憲法には書いてないけど色々あって逮捕できないとする人が多いです。

天皇陛下が車を公道で運転しないのは、もちろん事故を起こしたら大変なことになる、という面もあるし、刑事責任を問えない人間が事故をおこす可能性がある運転をしてはいけないよね、という面もあるからと言われています)

一方で韓国の憲法は「大統領の任期は一期5年」と明確に区切っており、これを改憲で変えることは可能ですが、その時の大統領には適用されない、として「大統領が任期を永遠に伸ばして逮捕されない」ってのは無しね、という仕組みにもなっています。

更に事実上現職大統領が逮捕されない代わりに「国会の発議、訴追、憲法裁判所(9名の裁判官)による裁判」で行われる弾劾裁判によって大統領が任期途中で罷免されうる仕組みも用意されています。




野党は「弾劾裁判」へ


野党は大統領の自発的退任を叫んできましたが、大統領が一向に辞任しないこと、更には世論の75%が辞任あるいは弾劾裁判を望んでいるという世論調査の後押しを受けて、弾劾裁判への動きを強めています。

韓国の国会は一院制で、議席数300。
憲法65条によれば、国会は在籍国会議員の過半数の決議によって大統領の弾劾の訴追を発議できる。発議されると24時間以降72時間以内に無記名の投票を行わなければならず、在籍国会議員総数の3分の2以上の賛成があれば訴追され、憲法裁判所による弾劾裁判が行われる。

憲法裁判所は170日以内に判決を出さねばならず、裁判官(9人)の3分の2以上(6人ですね)の支持があれば弾劾が成立し、大統領は罷免される。

(なお弾劾の訴追が行われると大統領職務は判決が出るまで停止され、その間は国務総理(国務総理がいない場合は法律の定めによる)が大統領職を代行する。)
現在、無所属(野党より)を含めた野党系議員が171名。国会議員は300名ですから、計算上はあと30名ほど与党系議員からから「寝返れば」弾劾訴追が成立します。

ただ、野党議員の中にも「最後の手段」である弾劾訴追には慎重な人たちもいて決して一枚岩ではありません。弾劾裁判はできるだけ避けるものという憲法学的な観点で及び腰な人もいれば、あるいはもしも弾劾裁判の訴追が出来なかったり、訴追されても罷免されないと朴大統領の正当性を認めてしまうことになると。


他方、ここに来て与党国会議員のうち30名を占める「非朴派」議員たちが「弾劾裁判賛成」に回る動きを見せています。

弾劾賛成派の中心にいるのが前のゼヌリ党(与党)の代表キムムソン氏。非朴派のリーダーと目されるキム氏を中心にすでに17人から20人程度が弾劾賛成の意思をかためたとされ、今後増えると見られます。
あるいは弾劾賛成から与党を離脱する可能性もあるかもですね。もしくは先に離脱、新党結成の動きから弾劾賛成と動く可能性もあります。

韓国は以前に、盧武鉉大統領が弾劾訴追されたものの、裁判所は弾劾を認めず、結果として弾劾を発議した側が避難された苦い経験もあり、若干腰が引けている面もあります。(その後の選挙でノムヒョンは排除の理論で新党を立ち上げて「野党」は選挙で惨敗した。

なお、実際にいまパク大統領を訴追しても今の憲法裁判所はいわゆる「保守色」が強く、9人中6人の弾劾賛成を集めるのは難しいという見方もあります。


しかし、ここで弾劾しなければいつ弾劾するんだよという声があるのも事実。

「加藤の乱」ならぬ「非パク派の乱」が成功する可能性はかなりあると思います。

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