2016年10月12日水曜日

悲運?の「駆逐艦」ズムウォルト

アメリカ海軍の最も新しい艦船(駆逐艦)ズムウォルトが配備されました


特徴的な形は「ステルス性能」を追求したため。
主砲二門普段はカバーに覆われています。

さて、この船、「駆逐艦」と呼ばれていますが、実は「馬鹿でかい」船です。

(普通は大きい順に「空母」⇛戦艦(いまは戦艦と称する船は現役ではいない)⇛巡洋艦⇛駆逐艦です。)

全長183m、満載排水量で15000トン!

どれくらいでかいかというと、日本のイージス艦(事実上の巡洋艦)こんごうが全長161m、排水量で9500トン。駆逐艦という自称ですが、実は巡洋艦よりもデカくて重い。世界大戦中なら正規戦艦(としてはちょっと小さいか)という大きさです。

なんでそんなに大きいか?それは主砲の発射の反動に耐えるため。
海面に浮かぶ船が大砲を打てば反作用で船が揺れます。大射程の砲を備える船はある程度の大きさが必要なんです。

カバーに覆われた「主砲」は二門。単純な「大砲」ではなく、砲弾自体がロケット砲になっていて射程距離は公称150キロmとされています。戦艦大和が45キロm程ですので「主砲」としては非常に長射程。もちろんミサイルに比べれば大幅に距離は短い(ミサイルなら最低でも500キロ、長いものなら3000キロmに及びます)
ただし、砲弾のほうが一発あたりのコストがかなり安い。またミサイルほどではないですがGPS誘導や慣性航法装置付きの砲弾は半径50mの円内に着弾させることが可能。複数撃つことでほぼ戦略的目標(空港とか地下施設とか)を破壊させることが可能。おそらく「特定の人物」を狙って主砲で殺害することも可能でしょう。速射性にも優れ一分間に10発もの発射が可能です。相手にとって狙われると防御することは不可能と言えるかもですね。(ミサイルや飛行機なら対空ミサイルで防御する可能性もありますが、砲弾はノーチャンスでしょう)

つまりはステルス性を活かして敵の海岸線に接近し、目標に対して大火力を浴びせる、そんな船。
もちろんトマホークのほうが長距離から打てる(その分安全)、飛行機からスマート爆弾を落とすほうが命中率は上がる。
しかしズムウォルトの主砲のほうが一発一発の威力は大きく(貫通弾なども使えるようになるんだろう)致命的な打撃を与える事ができる。目標に近づきさえすれば圧倒的な火力を使えるのがこの船の特徴と言えるでしょう。
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と良い事ずくめな船ですが、問題が。

建造費が高くなりすぎたんです。そこまで高いお金払って150キロメートル飛ばす主砲の価値があるのかという問題になります。ミサイルや空爆で代用できるならば、巨額の建造費がペイできない。

さらにはズムウォルトは高性能な主砲を備える一方で他の兵装はしょぼくなりました。応用も効かないんですね

結局アメリカ軍は数十隻の建造計画を取りやめ、わずか3隻のみを調達することにしました。
その分、現在使っているイージス巡洋艦の改良最新版を調達、更新する予定。
ズムウォルトは色んな意味で「幻の」船になってしまいました。悲劇の船と言ってもいいかもしれませんね。

無敵の船も経費削減には勝てなかった。月並みな表現ですが。

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