2016年4月26日火曜日

どんなマザーファッカー

乳児のクビを切って殺人という事件。

背景は複雑。犯人の乳児の父親60台の男と、乳児の母親20台の女。

しかしながら、20台の女は60台の男の結婚相手の娘だったという。
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男は奥さんの娘と関係を持った挙句に子供を出産させ、あまつさえその乳児を残酷な方法で殺してしまうという猟奇的な事件となった。

残念ながらこういう「底辺」な事件は今後も起こりうるんだろう。
底辺が底辺を再生産してしまう悪循環
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思い出したのは「尊属殺人違憲」のお話。

日本には、刑法200条で「尊属殺人」という規定があった。

(旧刑法200条  自己又ハ配偶者ノ直系尊属ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス(平成7年法律第91号による改正前))

父母や祖父。叔父叔母を殺したら、無期懲役以上ってな法律。
法学部を出た人間なら、分かる話なんだが、「無期懲役以上」と書いてあっても、裁判で必ず無期懲役以上になるわけではない。

なぜなら刑法にはいくつかの「減軽」措置が決められているから。
例えば、心神耗弱が認められると、無期懲役の罪の場合は7年以上の懲役までへラスことができます。さらにそこから情状酌量の余地があるとされると更に半分3年6ヶ月まで減らすことができるんです。
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でもまあ、無期懲役と3年6ヶ月ではおおきな差があるよね、と感じるかもしれません。

でも3年6ヶ月にも結構大きな意味があるんです。
というのも「執行猶予」(その間悪いことしなければ刑を免ずる)は「懲役もしくは禁固3年以下」の刑罰にしかつけられないんです。懲役3年を超えると必ず実刑なんですね。
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日本ではこの「尊属殺人規定」は最高裁で「違憲」判断がなされその後運用されず、違憲判決から20年がたって廃止されました。どんな裁判で違憲判決が出たかというと・・・。。
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被告人は女(28)。父親(53)を絞殺した容疑で逮捕。尊属殺人で起訴されました。

女は実の父親から14歳の時から日常的に性的関係を強要されます。
母親は父親に「娘に何するんだ」と強く抗議したものの逆に包丁で脅されるなどしたため被告人以外の子供の半数を連れて実家に。残された被告人と弟妹、さらに父親で生活するようになったというのです。
邪魔者の母親がいなくなったために性的虐待がエスカレート。父との間に5人の子供を出産(うち二人は夭逝)、別に6度の中絶を行っていました。
このままでは母体が危険ということで不妊手術まで受けていました。

なぜ逃げ出さなかったかというと被告には妹がおり、自分が逃げ出せば妹が同じ被害に会うと思われたから。普段は実父と弟妹、さらに被告人の子どもたちとで暮らしており、近所の人からは夫婦と思われていたようです。
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そんな被告人に結婚を前提とした交際相手ができます。
被告人は父親にそのことを報告し出ていこうとすると被害者である父親は激怒。

被告を10日間にわたって監禁した上その間も性的関係を強要したのです。
このまま父親が生きていては自分はどうにもならないと思った被告人は紐状のもので父親を絞殺。逮捕されたというものでした。
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一審は刑法200条は違憲としたうえで、過剰防衛と判断。sその上で刑を免除した。
しかし二審は尊属殺規定は合憲で、刑を最大限免除する(心神耗弱と情状酌量)で法定の下限である3年6ヶ月の実刑判決。

そのまま最高裁に上告され最高裁の判断となった。
15人の大法廷で行われた大法廷では一人が「尊属殺について刑罰を重くすることは立法府の判断」の範囲内として合憲を主張。

しかし残り14人のうち8人が「執行猶予を付けられないほどの重罰規定とするのは違憲」と主張。
合理性を欠くというわけです。

さらに残り6人は「そもそも尊属に対する殺人と、一般の殺人について刑罰の差をつけること自体違憲」と主張しました。身分制道徳性の名残であってそれ自体違憲というわけです。

結果、「無期懲役以上」とした尊属殺人の規定は違憲である、とした最高裁判断がくだされます。
尊属殺人について重い刑罰を課すのは合憲だけど、執行猶予が付けられないほど重い規定は違憲というわけです。日本の憲政史上、初めて最高裁が法律を「違憲無効」とした瞬間でした

判決は結局、心神耗弱状態と情状酌量を理由に「懲役2年6ヶ月、執行猶予3年」を言い渡します。
今の感覚から言えば「妥当な判決」ですが当時としては画期的だったんです。
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事件が起きたのが昭和48年。
ああ、40年前は日本も陰惨だったのね、とか思ってしまいますが現代でも冒頭のような陰惨な事件が起こっています。

貧乏だからこういうふうな事件が起こるのか。それともこう言う事件を起こすような人間だから最下層の生活を送っているのか。

考えさせられる事件でもあります。

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