2016年1月26日火曜日

遺留分。と遺言

亡くなった老婦人が、お手伝いさんに財産を残した遺言の話で「遺留分は?」ってな話が出てました。ちょっと触れておきましょう。よく分かる相続のお話。
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相続には「法定相続」という割りあいが決まってます。

例えば、亡くなったAさんという人がいるとします。その相続で考えます
AさんにはBさんという奥さんがいて、CさんDさんという子供がいます。

法律では、配偶者と子供がいる時は、非相続財産の半分を配偶者に。そして残りの半分を子どもたちで均等に分けなさい、と書いてあります。こういうのが法定相続。

例で言えば奥さんが50%を相続。残りの50%を子供二人で分けるのでCさんが25%。Dさんが25%もらえます。
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で、これは「あくまで法定の決まり」。有効な遺言によって、この比率を変えることが出来ます。

Aさんが例えば「Bさんは充分財産持ってるし、Cさんは跡継ぎ。Dさんは独立してるしなあ。財産はCさんに100%全て渡そう」こういう遺言をあらかじめ残すことは可能です(法的な遺言でですよ)。そしてBさんとCさんDさん全てが遺言を了解すればそのように相続が進んでいきます。

法定相続分はあくまで「任意規定」。遺言によって変えられます。。
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が、BさんとDさんが「納得出来ない」という事も有り得るでしょう。この時、BさんとDさんには全く何の権利も無いのでしょうか?
あります。それが「遺留分」です。遺留分については、遺言だけでは変えられません。
遺言について、相続人が納得すれば、遺留分の問題は発生しませんが、なっとくできなければ遺留分について権利を主張できます。遺言では排除できない「強制規定」なのです

(ちょっと専門的な話をすると、自分の財産を自由に処分するのは亡くなった人=被相続人の権利じゃないか!という考え方があります。だから法定相続分の決まりというのはあくまで「任意規定」であり遺言で排除出来るというのが遺言制度(と法定相続分)の考え方。一方で相続によって、配偶者や子供の生活保障の意義を持つこと、また被相続人の財産の形成には相続人も関わっているのが一般的であり、潜在的に相続財産というのは相続人の持ち分があることが一般的であり、「
強制規定」として被相続人の兄弟以外の相続人には「遺留分」という権利が与えられます。

このへんはいつかは行政書士の記述式に出てもおかしくはないかな・
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さて、遺留分って何?

民法1028条を見てみましょう
「直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の一」
それ以外の場合は相続財産の二分の一

この部分について、相続人は財産の相続を受ける権利があるのです。これが遺留分。

要するに、上記のケースでは奥さんも相続人なのでそれ以外のケース。
相続財産の二分の一について、奥さんはその更に50%、つまりもともとの財産の25%。
Dさんは財産の二分の一について更に25%、つまりもともとの財産の12.5%。

これについて「遺留分」として相続を要求する権利があるのです。何度も書きますがたとえ「子供○○には一円も財産をやらん」と遺言しても、この遺留分と言う規定によって相続財産を要求することが出来るのです。

乱暴な言い方ですが、配偶者と子供などで相続が発生した時は法定相続分の半分、子供だけで相続が発生した時は法定相続分の三分の一。これだけは遺留分があるよ、と。。(ちょっと細かいことは気にしないで)

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じゃあ、どんな時も必ず相続でお金はもらえるんでしょうか。例外もあります

生前に贈与を受けていた場合。子供二人いて、片方Eは家を買うのに3000万円貰ってました、片方Fは援助なし。で、相続するときに「遺言で片方Eにはもう3000万円やったから、残りの遺産3000万円はFに全額譲るね」こんなふうなケースは当然遺留分はすでに「貰ってる」よね。

生前贈与などがあった場合は当然その部分について権利を主張できなくなります
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お手伝いさんに全財産残す、という民事裁判のケースでは、すでに被相続人が数千万円を超える贈与を生前に行ってまして、相続人の遺留分については「枠をもう使い切った」という話になるでしょう。当然、遺留分については請求出来ないということになります

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おまけ。
相続が発生する場合でも相続人が「兄弟姉妹」の場合は遺留分はありません。なので遺言さえ残しておけば兄弟姉妹に相続が行くのを防ぐことが出来ます。

一般の人が知らないのですが、例えば親が死んで夫婦だけの家族で子供がいないケース。

夫婦のうち旦那さんが死んだとしましょうか?一般の人は相続人は奥さんだけ、と思っている場合が多い。しかし、なくなった旦那さんに兄弟がいる場合、兄弟に財産の4分の1、法定相続の権利が発生するんです。(兄弟が複数いれば4分の1を分割して相続)
兄弟いたけど、兄弟は死んじゃったから。。。でも兄弟に子供がいた場合、その子供に「代襲相続」が発生します。こどもが複数いる場合は、兄弟の取り分を更に分割して相続します。

とくに子供がいない夫婦に遺言書を作っておけ、とすすめることが多いのがこの「兄弟の相続」で揉めるケースがおおいから。
例えば旦那さんが死んだら、それまで疎遠だったほとんどあったこともない兄弟が現れて遺産の4分の1よこせ、って言ってきたら?揉めますよね。納得出来ないでしょう。でもそれが法定相続部分なのです。財産がほとんど家だけだったとしたら?
家を売って現金にしてお金よこせ!ってな話にもなりかねません。

しかしながら、民法の規定により、兄弟姉妹には「遺留分」がありません。つまり、兄弟姉妹に相続が発生する場合でも有効な遺言で「兄弟姉妹には相続させない(あるいは子供いないので100%配偶者に残す)」と書いておけば兄弟姉妹は相続の取り分を主張出来ません。
配偶者も死んで、あと身内は兄弟姉妹だけしかいない場合は兄弟姉妹に残すとか、やっぱり残さないとか書くのも自由です。

たとえお子さんがいらっしゃる家庭でも、不幸にして事故などで自分が死ぬよりも前にお子さんが亡くなって自分が死んだりするケースだってありえます。残された配偶者に相続で揉め事が起こりうるかもしれません。

あらゆるケースを考えて、夫婦が互いに遺言を残しておくことをおすすめします。
普通の人が遺言でやりがちなのは、「今の状態しか」考えないで遺言してしまうこと。
まあ当然といえば当然なのですが、誰よりも一番先に自分が死んでしまうと考えて遺言してしまう。「相続人が死んでしまう可能性」なども考え、一つ一つ「場合分け」して遺言をすることが本当は肝になるケースも有り得ます。

アドバイスは信頼できる行政書士または弁護士に貰ってくださいませ。

配偶者が残された時に兄弟に相続が行かないようにしておく、という遺言はかなり有効だと僕は思ってます。あと、配偶者と、自分の親が残されるようなケースの遺言とかもですかね。





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