2015年10月26日月曜日

不真正連帯債務

新天地は、株屋だったせいで、世間の事象を見ると、自動的に「ああこれはこういう株が動く」という回路が頭のなかで働きます。

一方、行政書士なので世間の事象を見ると、たまに大学の授業を思い出したりします。
遠い過去の記憶。ああ、授業で教授が言ってたのはこういうことなのね。
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不真正連帯債務というのがありまして。。。。

その前に連帯債務から。

日本の民法では、債務というのは基本的に自己の負担部分のみ責任を負うとの原則(民法427条)があります。例えばAさんが、BさんとCさん二人が共有するという条件で1000万円の家を売ったとしましょうか。427条だけを解釈すると、Bさんは家の半分の代金500万円だけ債務を負う、Cさんもまた半分500万円だけ債務を負う、ということになります。

もし、Bさんはお金を払ってくれたけど、Cさんはお金を払ってくれない、そんな事になったらAさんは困ります。じゃあ最初から売らないということになれば取引が進まない。BさんCさんが本当に欲しくても買えなくなってしまったらBさんCさんも困ります。

そこで民法は427条の例外規定として「連帯債務」という規定を作りました。民法432条です
BさんとCさんがAさんに対する債務を連帯して負うようにする仕組みです。
契約を結ぶ際に「買い付け代金についてはBCの連帯債務である」事を三者が互いに了解して契約すればいいのです


例えば、買い付け代金が連帯債務であるとすると、Aさんは家の代金をBさんに全額請求しても良いしCさんに全額請求してもいいのです。
これならBCどっちかかから確実に取れると思うなら家を売ればいい。取引が進みやすくなります。

BはAが1000万全額払えといえば1000万円払う義務があります。そして自分の持分は500万円ですから払い過ぎた500万円を今度はCから貰えばいいのです。

え?もらえないなら?もらえない可能性があるなら連帯債務なんて負ってはいけないですよ。。。
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これが普通の連帯債務。あ、いわゆる借金とかの「連帯保証」とは若干違います。普通は知らなくていいけど、試験を目指すならこういう簡単な項目は一つも落としてはいけない知識です。特に絶対効、相対効くらいは覚えておきましょうね。
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話は不真正連帯債務に戻ります。

432条が予定する連帯債務は、まず契約があって債務者間に緊密な関係がある場合が多い。
上の例で言えば共同で物を買ってその代金を返すという関係です。

しかし、期せずして432条の予定しない連帯債務関係が発生することがあるとするのが、不真正連帯債務という法律用語で表される関係。債務者は連帯債務を負うという意志も何もないのですが、法的安定性を考えれば、そこに連帯債務関係(各債務者が各々が全部の債務を負う)が発生すると考えたほうがいい場合があると。

難しく言い換えると、複数の者が偶然に同一の債権者のために同一内容の債務を負うことがあると考えるのです。これが「不真正連帯債務」。

不真正連帯債務を定めた条文はありません。学説や判例が認めた「判例法」ですね。
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例えば公害で認められた不法行為のばあい。

それぞれの汚染者は互いに協力して被害者に被害を与える意図がないとします。
そうすると、その被害については、各々が汚染した部分だけ被害者に損害賠償すればいいんでしょうか?
被害者はじゃあどれだけの被害を被ったからあんたはこれだけ払え、と一々証明しないといけないのでしょうか?
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学説判例はこのような場合に、「不真正連帯債務が成立する」と考えるのです。
汚染者、つまり賠償するべき人々はそれぞれが被害額全額を賠償する義務があると。
そうすることで被害者も救済できます
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傾いたマンションのケース、どうなるかはわかりませんが、購入者が受けた被害についてはやはり不真正連帯債務が成立するんだとおもいます。マンションを売った会社、ゼネコン、そして基礎に関わった下請け孫請け。これらが連帯して債務者になるんだろうなと。

もちろん、この場合、売り手の三井不動サンレジデンスがお金持ってるし、販売者の責任として一義的に一旦賠に応じると思われます。

ただ、もしも三井不動産が応じなくても(潰れて返せなくても)マンション所有者は、ゼネコンや下請けに被害額の全額を請求できると考えていいでしょう。

ってなことが頭を駆け巡る新天地でした。




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