2015年6月16日火曜日

ハービンジャーは血の行き詰まりを打破できるか。

日本の競馬を変えたのは80年台は間違いなく「ノーザンテースト」でした。90年以降はサンデーサイレンス。

サンデーサイレンスの威力はものすごく、今年のダービー、サンデーサイレンスの血が入っていない馬を探すのが難しいくらい。また、後継種牡馬としてディープインパクトが隆盛を極めています。
ディープ以外にもサンデーの子や孫が種馬として主流。

しかし、ここまでサンデーばっかりになってしまうと、日本の競馬産業としては「サンデーの血が濃くなりすぎる」という問題が発生します。
ここらでサンデーサイレンスの血が入っていない優秀な種馬を日本に持ってくるなりしないと、近親交配の馬ばかりになってしまいかねません。
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もちろん、生産者は手を拱いているわけではなく、定期的に新しい血を導入する努力は続けています。去年最初の世代が走りだした「ハービンジャー」もその一頭。

ハービンジャーは2006年にイギリスで生まれたイギリスの馬。
G1勝ちは「キングジョージ」のみ。しかし、このキングジョージの勝ち方が衝撃的でした。

3連勝して迎えたキングジョージは勢いを評価して2番人気。この時のキングジョージの一番人気は「ワークフォース」。英ダービーを僅かなキャリアでレコード勝ち、後に凱旋門賞を制したワークホースの独壇場と見られていたのです。

しかしレースをやってみれば、ハービンジャーはレコードタイムを記録。レース残り400メートルでワークホースにせりかけると、並ぶまもなく突き放します。世紀のダービー馬と言われたワークホースなど二位以下を400mのラストスパートでちぎり捨てたのです。他の馬が止まって見えるという表現をよく使いますがまさにそんな状態でした。

11馬身さの圧勝にハービンジャーの評価は急上昇します。G1一つを勝っただけの馬としては異例に「フリーハンデ」135ポンドを獲得しました。これは2004年以降に新しいフリーハンデを記録し始めたIFHA(国際競馬統括機関連盟)が競走馬に与えた評価としてシーザスターズの136ポンドにつぐ歴代二位の評価。あのシーザスターズ並みの強さというわけです。(海外で走ったオルフェーブルやディープ、エルコンドルパサー、その他もろもろの日本馬よりもワンランク「上」という評価だといえばわかりやすいでしょうか。たった一つのG1勝ちだけで、です。)
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ところが好事魔多し。ハービンジャーはキングジョージの後骨折で引退してしまいます。この時、日本の社台スタリオンが種馬として購入しました。この時の価格は6億円とかその辺と言われています。
凱旋門も勝った、ワークフォースをちぎり捨てた「歴史的名馬」が意外に「安かった」のはものすごい良血馬というほどではなく、戦績も古馬になってからの2400m以上のレースに勝ちが集中していることが嫌われたためと言われます。今の競馬は「スピード」とある程度の早熟性が種馬に求められます。

早いうちから短い距離でも走る馬のほうが馬主に取っては経済的。年齢を重ねるまで本格化しない、しかもレース数が減ってきている長距離のレースしか勝てない馬は「経済的ではない」のです。
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ハービンジャーの血統を見ると父親はダンシル(ダンジル)、その父はデインヒル、その祖父ダンジグです。
ダンジグといえば距離短いスピード馬ですがデインヒルを通してからは長距離を守備範囲とする馬もいます。ダンシル自身はマイル戦線で活躍した馬でした。(というかマイル路線の「脇役」でした)

が・・
ダンシルの仔はなぜか2400m以上の距離で、父親を超えるような活躍をしています。いきなりレイルリンク(凱旋門賞)をだすとハービンジャー(キングジョージ)、ダンク(ブリーダーズカップフィリーズメアターフ)などなど。母の父カヤージュはイギリスダービー馬なんでこのへんからスタミナや底力が供給されているのかもしれませんね。


母系はものすごく目立った活躍はしていませんが、フロンタルアタックが近親になるそう。

社台スタリオンとしては、父系母系共に日本に適正があった馬が多く含まれているところから、日本の馬場に合うと判断したんでしょうね。
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問題は・・・
初年度産駒が鳴かず飛ばずであったこと。確かにベルーフが京成杯を勝ったものの重賞勝ちはこれだけ。並みの馬ならそれでも満足かもしれないけれど、この初年度産駒の母馬たちは、社台グループ自慢の良血馬がズラリと揃っているんです。
例えばシーザリオ、例えばダンスインザムード、ダイワスカーレット・・・。
これだけの良血馬に種付けしながら、現時点では2勝以上している馬がペルーフを含めてわずか3頭だけ。現状では「悲惨な失敗」としか言えない状況で、、、

もっとも、初年度産駒が失敗しても、二年目の世代から活躍しだすということは割にあります。種馬によってトレーニング方法が合う合わないがあって、二世代目からうまくいくばあいってのがあるんですね。
またハービンジャー自身が奥手のスタミナ型だったとすれば、今ぱっとしない初年度産駒の中から長距離で力を発揮する馬が出てくる可能性は有ります。

ダービーも終わって今年も新しい世代がデビューします。
父ハービンジャーの競走馬たちには頑張って欲しいところですね。




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