2015年5月20日水曜日

サンデーサイレンス論

このまえ、アメリカにはもう20数年三冠馬が出てない話を書いた。

そのアメリカで最も3冠に近かった馬が[サンデーサイレンス]。もしもこの馬が何年か前もしくはあとに生まれていたら、三冠馬になれたと思う。
最後のベルモントステークスでサンデーサイレンスの勝ちを阻んだのが、イージーゴーアーだった。イージーゴアさえいない年に生まれていれば3冠取っただろう。
イージーゴーアはサンデーが勝った最初の二冠レースで一番人気に押されながら2分の1馬身、ハナ差でまけ。最終のベルモントステークスは2番人気に下がるも、今度はサンデーサイレンス以下を8馬身ちぎりすてた。
セクレタリアトの再来とまで言われたイージーゴアだが、サンデーに勝てたのはこの一度。
シーズン最後の競馬の祭典、ブリーダーズカップ・クラシックで再度(結果として最後の対戦になった)対決するもサンデーの勝ち。

翌年、二頭の直接対決のためのレースが企画されるも二頭とも故障を発症し引退。直接対決は結局サンデーの三勝一敗とサンデー優位に終わった。
もっとも、サンデーが得意としていた距離が1600から2000mだったのに対して、イージーゴアは2400以上の距離を得意としていたとも言われ、得意距離の差が勝敗を分けたとも・・・。

逆にサンデーのいない年にイージーゴーアが生まれていればやっぱり3冠取った気もするが。それくらい二頭は図抜けた競走馬だった。

サンデーサイレンスは父親がヘーロー。ヘーローはサンデーサイレンスやグッバイヘーローなど突発的にすごい馬を出すものの、とにかく活躍馬をコンスタントにだしたアリダー(イージゴアの父)よりははるかに格下。母方はまるっきり活躍した馬がいないなど、血統的評価はかなり低かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サンデーサイレンスは当初、アメリカで種牡馬生活を送るはずだった。

しかし、ヘーローの子供はたとえ活躍した馬でも、種馬になると冴えない、という実績。さらに母系に活躍馬がいないということから、種付けの申し込みが少なかったのだ。
(当時総額1000万ドル、25万ドル✕40口)のシンジケートが組まれたが40口の募集に対してたった数口しか応募がなく、「売れ残り」の状態に。

ここで社台ファームの吉田善哉氏が、11000万ドル、当時およそ16億円とか、で全部を買い取るオファーを出した。吉田氏はサンデーの勝ったレースをVTRでみて気に入り、ブリーダーズカップをサンデー目当てで生観戦するなど、サンデーを強く欲しがったという。

当時サンデーを最も多い持ち分で所有していた米国ストーンファームが牧場の規模拡大に乗り出していたことで、現金が入用だったこと、個人的にストーンファームのオーナーと吉田善哉氏や息子が友人だったことも有り、このオファーは成立するんである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時はバブルの絶頂期とは言え、世界のトップホースが輸入されることは皆無だった時代。
これは大英断だった。ケンタッキーダービーを買った馬が日本に来るなんてのは想像がつかなかった時代。

しかし一方でアメリカの競馬マスコミの論調は「成績に釣られたエコノミックアニマルが血統表も見ないで売れ残りの種馬を札束で買っていった」と評された。要するにバカにされたんである。バブルで儲けたお金で高値で価値の無い馬を買っていったと。
それはアメリカの不動産を高値つかみした日本人に対する嘲りに近いものがあったか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サンデーは日本で1000万円ほどの種付け料で供用を始めるも、生まれた仔馬の評判は芳しくない。景気の悪化も有り、三年目には種付け料は800万円まで下がってしまう。

善哉氏はこの馬を買い付けたあと、仔馬のデビューを見ることなくなくなった。

高額で買い付けた「批判」に対してこう言い残したという
私は生まれ変わることはできない。しかしサンデーの血はノーザンテースト(当時のダントツの
日本の種馬。同じく社台ファームが買った馬)と同じくらい走ると信じている。何十年後もサンデーの血が日本中を走る。私の馬屋の意地は生まれ変わるんだ」

サンデーサイレンスの子どもたちが走りだすと日本の競馬が変わった。それはまさに「サンデーサイレンス前」と「サンデーサイレンス後」と言ってもいい。


バカスカ勝ちまくった。サンデーにあらずば馬にあらず、だった。


吉田氏の目は正しかったが遺言は外れた。サンデーの仔はノーザンテーストと同じくらいではなく、それをはるかに上回る活躍を見せたサンデーの血は日本中ではなく世界中で走ろうとしている。何十年後もではなくおそらく半永久的に走り続ける。それだけの血を残した。

日本の競馬が世界に追いついたのはサンデーが嵩上げした部分もかなり大きい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いま、株価の時価総額はバブル期を越えたという。
一般の企業でもこういう時に何十年も先を見据えた投資を行える会社がトップで在り続けられる。

先を見据えた経営者、求む。

そういう会社を選べるかが長期的なリターンにつながるんだろうね。

0 件のコメント: