2015年4月26日日曜日

FFのリアサスはトーションビームからマルチリンクへ

よく、世界のFF車のベンチマークはフォルクスワーゲンのゴルフだと言われる。


初代ゴルフが普及させた形。ハッチバック。(いわゆる「トランク」をなくした2BOXと言われる形)欧州では路駐の要請から全長が短いけど容量は最大限という要請からあの形が生まれた。フロントにエンジンを横置きし、フロントタイヤを駆動。逆にリアは徹底的に簡素化し大きなスペースを生み出した。それを実現したのが、トーションビームサスペンション。
簡単に言えば、両側のタイヤをつなぐサスペンション上の板をつないでバネのようにして動かす形。軽く安く体積は少ない(構造が簡単なため)。良いことづくめだが、その分乗り心地は悪い。(車輪が左右で「つながって」いるのでコーナリング時に姿勢を安定する効果(アンチロール)はあるが、片方だけが段差を乗り上げた時にショック吸収に劣るなど。ジオメトリー変化も不利に働く。
けれどメリットの大きさ(軽量、安価)からあっという間に世界中のFF車のリヤサスに採用された。
駆動とハンドル、そして重量物であるエンジンを支える役割をすべて前輪で受け持つFF車ではそれほど後輪のサスペンションは重要視しなくても良いという考えだったのだね


日本で一番売れてるプリウスやアクア、ホンダのフィットなどもこの形。王道の組み合わせなわけです。タイヤを一本のトレーニングアームというサスペンションで懸架しながら、そのアーム同士を柔軟性のある鉄の棒で繋ぐ形。それぞれのタイヤは独立して動くものの鉄の棒の繋がりによってある程度の制約を受けます。制約は受けますがこの鉄の棒(トーションビーム)のお陰で軽量、かつ省スペースで剛性を確保出来るのです。


しかし、一方で本家のゴルフは最新型ゴルフ7の上位車ではリヤサスペンションに「マルチリンク」という複雑なサスペンションを採用しています。サスペンション設計の優秀さや高性能のダンパーなどの採用でこのクラスでは世界一という乗り心地を実現しています。
参考。図右下がマルチリンクサスペンション。
複雑で重く、体積を取る、お金もかかる。(体積を取ると人が乗る部分や荷室が狭くなる)
しかし、タイヤを左右完全に独立させて動かせるので乗り心地の面で有利。さらにこのタイプはコーナリングや加減速で車体が前後左右に傾いた時に、タイヤの角度を最適にコントロールするように作動させるように設計する。結果としてコーナーの性能もアップします。

強固な車体を使うと柔軟なサスペンションが必要になってくるんですね。(従来の「剛性の低い」シャーシはシャーシ自体にもショックを吸収する効果があるにはあった。しかしそれでは高次元の性能は作れない。)高次元の性能を求めると、シャーシ自体は剛性を高め、ショック吸収はサスペンションで行うというのが最新の設計といえるだろう。シャーシ剛性が高くなることでサスペンションのジオメトリが正確に担保され、サスペンションが設計通りに作動するという面もある、シャーシがねじれてしまうと、サスペンションの動きが鈍り細かい振動を吸収できなくなったりする面もある。
(このへんはオフロードの競技用ラジコンカーを走らすとすぐに体感できたりします)

今年登場の新型プリウスもぶっとい「サイドシル」を使った強度たっぷりの車体にマルチリンクサスペンションを組み合わせて来ます。
新型プラットフォームのTNGA。
車体両側株の構造体を「サイドシル」といいます。ここを太くまっすぐに作れば車体の剛性は上がります。ロータスやポルシェなどはここが極太ですね。ただしあんまり太すぎると乗降性に問題が出てくるし重くなってしまうのでそこが設計の悩みどころ。ここを太く作ってきたのと、リヤサスペンションが「マルチリンク」であることが見て取れます。
「高い剛性のシャーシ」と「高性能のサスペンション」
これがトヨタの答えなんだと。当たり前ですが、コストとの兼ね合いで出来ていなかったこと。これはトヨタはプラットフォームを車種ごとに共有開発することでコストを下げて広げていこうとしているわけですね。

今まで、燃費重視で乗り心地は悪いね、と言われてきたプリウス。
(燃費重視の車はどうしても乗り心地が悪化する傾向がある)
しかし、ゴルフなどの手強い競合車が続々出てくるこのクラスではもはやマルチリンクサスでないと乗り心地品質で勝負にならないとふんで「もっといい車」としてこの設計を選んできたということでしょう。

ここの開発能力は会社の株価を端的に示すと。
リヤのマルチリンクサスをミドルクラスの車に出してこれない会社の株は持ってる価値なくなると思う。
トヨタは一歩前に出てVWを追いかけだした。4年後には抜くつもりらしい。

ホンダや日産はどうでるか。
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