2013年4月13日土曜日

錯誤

新天地は行政書士です。って今回は運送屋です、のはなしかな。(株には全く関係ありません)

先月、川崎でトレーラーが反対車線にはみだし、軽自動車の花屋さんがなくなるという痛ましい事故がありました。トレーラー自体が反対車線に飛び出すことは軌跡上、普通はありえない。

なぜそんなことが起こったか?

アホ馬鹿死ね運転手なことであることがわかりました。事もあろうにトレーラーの運転手は割り込まれたことに腹を立て(これも運転手が言うだけでどこまで本当なのか。)、割り込んだ車を追い越すために加速し高速で追い越し車線を走行、追い越した後に走行車線にハンドルを切って車線変更、さらに嫌がらせのために急ブレーキを踏んだのです。

急ハンドルとか急ブレーキ、どれか一つでも危険なのに(トレーラーは非常に不安定な乗り物で、この手の運転は絶対しません。運転手だって危険だから)いっぺんにやったらどうなるか。

不安定になったトレーラー部分が、ドリフト状態で反対車線に飛び出し(ジャックナイフとか言います)、軽自動車は原型を失うほどぐしゃぐしゃに。搭乗者は身元確認が困難ほどの損傷となりました。(トレーラーの台車って、重いものは10トンを越えます。車数台と衝突するようなものです)
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さて、危険運転致死罪に問われることになったこの運転手、刑法的には少しおもしろい論理が使われます。「錯誤」です。


例えば殺人罪。これが成立するためには殺意(故意)と行為(結果)の両方が必要です(構成要件とか言います)。例えばAという人間がBという人間を殺そうとして銃を発泡しBに命中、Bが死ねば殺意も行為もあり、殺人罪が成立します。

しかし、Bを殺すつもりがなく、無意味に発泡したところ、たまたまBにあたったら?これは殺意がないのでせいぜい過失致死や重過失致死になります。Bに対する殺意(故意)という構成要件が無いから殺人罪が成立しないのです


ではこのケースでは?AはBを殺そうとして発泡したところ、Bが避け、その玉がCに当たってCが死亡した。Bに対する殺意(故意)とCに対する行為(結果)はあります。しかしCに対する殺意(故意)は無いわけです。ならばこの場合は殺人罪は成立しないのか?
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刑法ではここで「錯誤」という理論が使われます。Bを殺そうとしたんだけどCがが死んでしまった。このBに対する殺意をCにたいして転用しようと。これを(事実の錯誤のうちの)方法の錯誤といいます。自分の思っていたことと結果としての事実に差がある場合、これを錯誤であるとして関連付けて認めてしまうのです。結果的にBに対する殺意がCにに対する殺意と同じように扱われ、殺人罪が成立するとされます。

(はい、もちろん細かな異論はあるけど今日は聞きませんw)
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今回の危険運転致死罪でも同じような論理展開が行われています。危険運転致死の構成要件の一つが「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」(刑法第208条の2第2項前段)があること。さらにその結果として人が怪我をしたり死んだりすることで危険運転致死傷の罪が成立します。

今回、妨害しようとした車と、被害にあった車は別の車です。被害にあった車に対して妨害の故意はありませんでした。。しかしもともと妨害しようとした車に対する故意を被害にあった軽自動車に対する結果の間に錯誤として関連を認めることで危険運転致死罪と認定し起訴することになりました。危険運転でこういう策をを認定するのはおそらくこれがはじめてのケースではないでしょうか?裁判でも少々争う余地があるような気がします。おそらく判例集に乗ることでしょう。

不謹慎ですが「面白い」ケースだと思います。
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追伸
トレーラー、大型トラックは急には止まったりできません。遅いからといって大型車の前に急に割り込むような運転だけはやめてください。止まったり急ブレーキをした結果、とんでもない大惨事を巻き起こす可能性もあるのです。できれば大型車には近づかない。これ、少しでもリスクを減らす大事なことだと思います。

株で儲けても死んだら意味ないですからねえ

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