2012年3月21日水曜日

光学から電子補正へ

ちょっと前にも書きましたが、カメラの話。「ストロボがいらないカメラの話」で思い出した。

日本語では「写真」って書きます。真実を映す。でも今は実は違ったりします。
-------------------------------------------------
映像を記録するには「レンズ」が必要です。ところでこのレンズ、非常に色々な制約をクリアしなければいけません。たとえば「ピント」でありあるいは「収差」と呼ばれるものです。

色収差と呼ばれるもの。これは光線の波長が色によって違うために像を結ぼうとすると色がにじむもの。あるいはあるいは歪曲収差と呼ばれる、形が崩れてしまう現象。
今までこれらの収差を如何に出さないレンズを設計し製造できるか?これがカメラメーカーの至上命題でした。高価な蛍石や特殊なガラス、非球面レンズと呼ばれる特殊な加工を施したくさんの枚数のレンズを組み合わせる「工学的な技術力」(設計から製造までを含めて)が大事だったのです。日本メーカーだけが事実上市場を支配できた理由がここにもありました。またこれらを出さないレンズはどうしても重くて高価でした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところが。ここ2,3年で出てきたデジカメは違います。実は最近のデジタルカメラ(除く「一眼レフ」タイプ)のレンズは、特に小型のコンパクトデジカメのレンズは、上で書いた色収差や歪曲収差が出まくりのレンズがどんどん出てきたのです。え?そんなカメラ役に立たない?でもそんなカメラでも出てくる映像はすばらしいものばかりです。

それはなぜか?たとえば歪曲収差が出まくりのレンズの映像でも、あらかじめこのレンズはこれだけ像がゆがむから、これだけゆがみを直せば綺麗な像になる、という計算をカメラ自身がリアルタイムで行うことで、綺麗な映像を記録することができるからです。(つまり、そのレンズが記録する本来の映像データと、僕たちが目にする映像データはまったく別物なのです)極端な話まるで魚眼レンズでとった用にゆがんだ像を結ぶ低性能のレンズであったとしても、リアルタイムに像を「普通の映像」に変換し記録することでレンズ設計を追求しなくてもよくなったのです。
今まではそんな処理をカメラが行うことは難しかったのですが高性能チップの登場とその普及によって可能になりました。
今では「光学的」に像がゆがまない「高性能な」レンズを使うよりも、「光学的には」像がゆがんでしまうレンズを使ってもそれをカメラの中で「電子的に補正する」ほうがカメラを安上がりで小型軽量化できるようになったと言うわけです。

今までは一眼レフカメラはフイルムを使っていましたし、ファインダーは撮影用のレンズと直結していたから、撮影者はレンズが結ぶ像を生の状態で直接見ていました。だから像がゆがんでしまうようなレンズを使うことはもってのほかだったわけです。
しかし「ミラーレス」と呼ばれるカメラやコンパクトデジカメは違います。コストや重量増から逃れるためにもともとの像はゆがんでいるのが前提。ゆがんだ像をCCDなりC-MOSが受光し、それをコンピューターが処理して液晶なり有機ELに「正しい映像」としてリアルタイムで復元しそれを撮影者は見ていると。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
未来のカメラはもはやレンズさえなくなっていくのかも。何らかのスキャン情報を記録し、それを映像として処理できる技術。そういう発想ならストロボはなくなっていくんでしょう。

え?それが株と何の関係があるかって?

つまり先行するカメラメーカーあるいはレンズ専業メーカーにとっては後発メーカーに追い上げられる余地が高まったといえるのかもしれません。高性能のレンズを作れなくても高性能の電子補正の仕組みを使えるところが勝者になる時代。今までの光学勝負ならキャノンやニコンに勝てるメーカーは絶対に現れなかったでしょう。しかし今ではたとえばサムソンやLGが勝負できる電子勝負の時代。

あるいはタムロン。これに変われる会社は現れなかったでしょう。しかし電子補正と言うのはカメラとレンズが協調しなければいけない仕組み。これをうまくできなければあのトップ企業もうまくいきますまい。

あるいはミラーレスに出遅れたキャノン。エトセトラエトセトラ・・・。

0 件のコメント: